◆職場のハラスメントと企業の責任
職場のハラスメントが発生した場合等、企業が適切に対応していなければ
民事上の責任(損害賠償等)を問われる可能性があります。

ここで、ハラスメントに関連する民法等を確認しておきましょう。
(1)不法行為に関する使用者責任
事業所において、従業員が勤務時間中に他の人に対して
ハラスメントを行った場合等、従業員が事業を行うことに伴って
違法に他人に損害を与える行為(不法行為)を行った場合、
その使用者は使用者責任を負います(民法715条1)。
この点について、使用者が「被用者の選任及びその事業の監督
について相当の注意をしたときは使用者責任を負わない」
という定め(民法715条1但し書き)もあります。
しかし、裁判例では“使用者が相当の注意をした”と認められることは
難しく、企業が使用者責任を問われるケースは多い事が実際です。
(2)職場環境配慮義務違反
企業は労働契約に付随し、労働者が安心して働けるように
「良好な職場環境の維持確保に配慮する義務」があります。
ハラスメント防止やハラスメント発生時の対応等について
適切に対応しないと、職場環境配慮義務違反(債務不履行、不法行為等)
として責任を問われることになります。
従業員からハラスメントの相談があったのに適切に対応しない場合や、
相談がなかったとしてもハラスメントが発生していることを
使用者が知り得た場合は、被害を受けた従業員から
企業に対して職場環境安全配慮義務違反として損害賠償を求めら
れる可能性があります。
※企業としては、あらかじめハラスメントの予防措置をしっかりと行い、
万が一、ハラスメントが発生した場合は、迅速に事実を確認したうえで、
適切な対処を行うことが大切です。
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