ハラスメント対策と労働協約
◆ハラスメント対策と労働協約
ハラスメントの禁止や、ハラスメント事案について厳正に対処する、
という内容については、
就業規則等に定めて従業員に周知する必要があります。

企業によっては、労働組合と会社の合意の下に「労働協約」の中に
同様の内容を定める場合もあります。
労働協約とは労働組合と使用者との間で合意された協定で、
労働条件に関する事項と労使関係(集団的労使関係)に関する事項が含まれています。
このうちの労働条件に関する事項については、
労働契約を規制する効力が認められています(労働組合法 16 条)。
すなわち、就業規則で労働協約に定める基準に違反する労働条件を定めた場合、
組合員との関係ではその部分が無効となり、
労働協約で定められた労働条件が優先的に適用されます
(労働基準法 92 条、労働契約法 13 条)。
非組合員についてはどうなるのかという点は、使用者との労働契約で、
一定の労働条件について、「労働協約の定めるところによる」といった条項が設けられ、
それによって労働協約の内容が非組合員の労働条件を決定する場合があったり、
また労働協約への準拠が慣行と認められる場合もあり、
結果的に労働協約の規定が非組合員まで及ぶようになっています。
このように、
労働協約は、会社と労働組合が合意した文書という点で就業規則以上の効力があり、
企業のハラスメント対策という事についても重要な位置づけとなります。
労組のある企業の場合は、ハラスメント対策における労働協約の活用も
検討する必要があると思います。